インフォメーション 〜time now〜


 今回time nowを担当します、透析室の岡本威志です。よろしくお願いします。
 穏やかな日ざしにいつしか春の訪れを感じる季節となりました。

 私は10年以上前から大分県地域リハビリテーション研究会に事務局員として携わっており、先日3月10日(日)に「令和5年度大分県地域リハビリテーション研究会研修会」を開催いたしました。今回の研修会ではテーマを『災害時における医療チームの取り組み』と題し、(公社)大分県臨床工学技士会や大分JRATより講師の先生にお越しいただき、講演をしていただきました。大分県臨床工学技士会の大規模災害を踏まえた取り組みや大分JRATの令和6年能登半島地震活動経過報告を拝聴し、いつ起こるか分からない災害に備えるべきネットワークの構築や災害支援について学ぶ機会となり、有意義な研修会となりました。会場とWEB配信を含め90名を超す方々にご参加いただき、誠にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 さて、今年の3月11日で東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から13年を迎えました。東日本大震災により犠牲となられた方々とそのご家族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。東日本大震災は、2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分頃に発生、マグニチュードは“9.0”(1952年のカムチャッカ地震と同じ)で明治以降の日本の地震被害としては関東大震災、明治三陸地震に次ぐ3番目の規模で、これは日本国内観測史上最大規模、アメリカ地質調査所(USGS)の情報によれば1900年以降、世界でも4番目の規模の地震でした。津波や火災などにより、東北地方を中心に12都道府県で死者や行方不明者は2万人以上、震災による直接的な被害額は16兆円から25兆円と試算されており、甚大で広範な被害をもたらしました。

 地震大国である日本は今年に入り能登半島地震、最近では首都圏で不気味な地震が相次いで報告されています。千葉県では震度1以上の地震が2月27日からの6日間で30回以上発生しており、これにはスロースリップという現象が関係していると考えられています。スロースリップとはプレートや断層がゆっくりと滑る地殻変動を指し、通常の地震では地下に溜まったひずみエネルギーが解放され、断層がずれ動くことで地上でも揺れに気付きますが、スロースリップはごくわずかな地殻変動のため、地上で揺れに気付くことはありません。このスロースリップ自体が被害を生じさせることはありませんが、東日本大震災や能登半島地震の前にも起きていた可能性が指摘され、30年以内の発生確率が70~80%と言われている南海トラフ地震との関係性も指摘されています。南海トラフ地震は駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とし、関東から西日本と九州全土で震度4以上の地震が発生すると想定され、最大20メートル以上の津波が来る可能性もあると言われています。南海トラフ地震が発生すればその被害は今までの地震の比ではなく、日本の機能が停止する可能性があるとも言われています。このような大規模地震に個人レベルから社会全体で備えを強化し、災害に対するリスクを最小限に抑える努力を続けることが重要となります。「明日は我が身」という危機感を持ち、地震が起きた場合に備えて、十分な非常食や飲料水を備蓄し、安全な場所に避難する準備を整えることも大切となります。自らの安全と周囲の安全が確保できるように努めていかなくてはなりません。我々医療者にも災害への備えは極めて重要です。危機感を持ち、地震などの災害に備えて自己防災意識を高める必要があります。災害が発生した際には、自らも被災者となる可能性があることを理解し、避難計画や避難物資の準備を徹底し、患者の身の安全を確保することが不可欠です。また、他の医療機関や救急隊との連携を強化し、医療資源の適切な配分や被災者の受け入れ体制を確立することが求められます。地震だけでなく、他の災害に対する備えも怠らず、常日頃から災害時のシミュレーションや日々の訓練、準備を積み重ねることは医療者の責務であると考えます。

【リーフレット「南海トラフ地震 -その時の備え-」】
(作成:内閣府・気象庁 発行:令和元年6月)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/nteq/leaflet_nteq.pdf




令和6年3月タイムナウ 臨床工学技士長 岡本威志