インフォメーション 〜time now〜


 2月のtime nowを担当します看護部の髙田亜紀です。
 東風が吹き、梅の香りが春を運んでくる季節となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 今年の元旦に発生した能登半島地震から間もなく2ヶ月が経過しようとしています。先日のニュースで、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の「市立輪島病院」で、看護師の4人に1人が退職の意向を示していることが報じられていました。市立輪島病院では職員の多くがみずからも被災しながら業務に当たっていますが、およそ120人いる看護師のうち、近く退職する意向を示している人がおよそ30人にのぼり、4人に1人の割合になっているそうです。退職理由として、病院の近くに子どもを預けられる施設がないことや、仮設住宅の入居に時間がかかると見込まれていることがあげられ、2次避難先の金沢市などに職場を求める看護師もいるということです。

 このニュースを見て、同じ看護師としてとても胸が痛くなりました。地震直後から、看護師たちは救急医療や避難所での健康管理など、様々な医療支援活動に従事しています。およそ2ヶ月が経過した今も、被災地の医療ニーズは依然として高く、看護師たちの貢献は不可欠です。しかし、2ヶ月の長期にわたる災害復旧活動は看護師たちにとっても負担が大きいものだと容易に推測できます。過労やストレスが蓄積し、心身ともに疲弊しているケースも多く見られるでしょう。また、被災地には医療リソースの不足や設備の損壊といった課題も残っており、看護師たちは十分な環境調整や支援を受けられているとは言い難い状況に置かれています。それに加えて、自身も被災者で家族の安否確認もままならずに不安を抱きながら、患者たちの命や安全を守る使命を果たしています。被災病院の看護師は、使命を果たす中で達成感も得られていると思いますが、ストレスもまた甚大であることは想像に難くありません。被災病院の看護師は大切な家族や自分のことを二の次にする辛い選択をしているのが現実だと思います。しかし、これは看護という仕事に誇りを持っているからこそ成せる行動だとも思います。

 看護師は救援者という立場にならざるを得ないものの、他の被災者と変わりない「一人の人間」であり「被災者」でもあることを忘れてはならないと思います。看護師の使命や役割、公人と個人の立場の葛藤は、同じ仲間にしか実感できないとも思いますので、看護師同士が労わり合って支え合い、適切な休息をとり精神的なケアもして欲しいと遠くの地から願うばかりです。
 そして、いつ訪れるかわからない災害に備え、私たちも平時から災害発生時における対策、訓練をして行かなければならないと改めて強く考えさせられました。



令和6年2月タイムナウ 看護師長 髙田 亜紀