インフォメーション 〜time now〜


 11月のtime nowを担当しますリハビリテーション部の浅倉恵子です。
 長く続いた夏の暑さがやっと過ぎさり、秋を楽しむ間もなく冬が到来したという感じがしますが、みなさま体調など変わりなくお過ごしでしょうか?

 今回私は、『Well-being(ウェルビーイング)』についてお話ししたいと思います。最近、日常生活だけでなく、企業経営やマネージメントの分野においても大切な指針として取り上げられています。

 “Well-being”とは、『すべてが満たされた状態かつ継続性のある幸福』を意味します。

 この“Well-being”は最近生まれた考え方ではなく、世界保健機関(WHO)憲章が発効された1948年にはすでに存在しており、健康とは何かを説明する前文「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 」に、“Well-being”という言葉が使われていたそうです。公益社団法人日本WHO協会は、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう」と訳しました。

 ではなぜ、現在になって注目されるようになってきたのでしょうか。

 その一つの理由として多様性の尊重があるそうです。少子高齢化が進み、働き手が不足している現在、労働者各個人の多様性を許容し、最大限力を発揮できるよう、企業は環境を整えることが求められています。子育て世代における働く女性の増加や男性の家事への参画など、さまざまな環境が変化しています。このように高齢化による労働人口の減少や育児・介護との両立などを受け、2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されました。これは、社員一人ひとりの能力や価値を高め、やりがいをもって働き成長することで企業成長やイノベーション創出につながることを目的としたものです。

 では、日本はどの程度『幸福感』を感じることができているでしょうか?

 国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)は「World Happiness Report(世界幸福度報告書)」の2023年版で日本の幸福度は世界47位であると発表しました。前年度の54位からは改善し、2015年以降8年ぶりに40位台へ回復はしたものの主要7カ国(G7)の中では最下位で、決して高い水準にあるとはいえません。

 一方で、ウクライナはロシアからの侵攻により、住む家や家族さまざまなものを奪われましたが、幸福度は98位から92位へ上昇しました。これは、リーダーシップとの共通の目的意識、博愛、信頼がはるかに強くなっていることに支えられていると理由づけされていました。
 この事象を基に考えると、幸福度は単に住む場所や毎日生活するためのお金、食事が担保されるだけでなく、仕事の充実やコミュニティ、人間関係などたくさんの要素が影響しているということです。

 ただし、幸せだと感じる閾値は人それぞれです。患者さんの笑顔、スタッフへの感謝の言葉、仲間のフォローなど日々の小さな出来事にWell-beingは隠れています。小さな幸せを感じることができる人徳を磨いていきたいですね。まずは、私たちが元気でいましょう。そして心にゆとりを持ち機嫌よく笑顔で過ごしましょう。



令和5年11月タイムナウ どんぐりの杜クリニック
光心会 統括部長 浅倉恵子