インフォメーション 〜time now〜


 今回、time nowを担当します透析室の岡本威志です。よろしくお願いします。

 日増しに秋が深まり、朝晩は肌寒さを感じることも多くなりました。日中が過ごしやすくなったことで、我が家の愛犬もようやく太陽の光を浴びながら散歩ができるようになりました。

 さて、9月から10月にかけて世界各国で様々なスポーツの大会(ラグビーワールドカップ、ワールドカップバレー2023、アジア競技大会、他)が開催されています。その中でも「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」は当初、昨年9月10日〜25日の日程で開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期となっていました。今年、中国の杭州で行われた後、2026年に愛知(名古屋)で「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」の開催が予定されています。今大会は、45か国・地域が参加、40競技481種目が行われ、「マインドスポーツ」として囲碁やチェスなどの競技もあるほか、今大会からeスポーツに加え、カバディや中央アジアの格闘技「クラッシュ」などアジア特有の競技も行われました。16日間の熱戦を終え、日本は金メダル52個、銀メダル67個、銅メダル69個、合計で188個のメダルを獲得しました。

 私はスポーツ観戦が好きです。この様な大会を通じて普段は見ない競技を観戦することで、新たに興味を抱くことができ素晴らしい経験になりました。スポーツの魅力は、競技そのものだけでなく、その場にいる人々との共感や感動、協力やチームワークの大切さを学ぶことができることです。これらは、競技にとどまらず日常生活や仕事にも応用することができます。

 医療現場においてもチームワークは極めて重要な要素です。いわゆる“チーム医療”です。チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されています。多くの異なる役割と専門知識を持つ多職種で構成され、各々が専門性を発揮しながら、相互に連携して患者さんと接することで、より効果的な医療の提供を可能とします。私の所属する透析室においても医師を中心に、職種毎の異なる視点や専門知識を出し合うことで、多くのアイデアやアプローチを生み出し、より質の高い透析医療の提供に繋がるということを改めて考えました。スポーツの世界においても、医療現場においても、組織においても、チームワークの重要性を再認識する機会となりました。

 話は戻りますが、アジア競技大会は4年に1度開催されるアジア最大のスポーツの祭典です。歴史は古く、第二次世界大戦後まだ間もない1951年、戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆を、スポーツを通じて取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いを込め、日本を含む11か国の参加の下、第1回大会がニューデリーで開催されました。以来、スポーツにより友情を育み、多様性を認め合うことを通じて、国際平和に寄与する一大イベントとなっており、アジアオリンピック評議会(OCA)が主催するため、「アジア版オリンピック」とも言われています。オリンピック憲章の根本原則は、その目的について「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」と定めており、いつしかオリンピックは「平和の祭典」と呼ばれるようになりました。しかし、そのアジアにおける「平和の祭典」の最中、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃が世界に衝撃を与えました。イスラエル軍はパレスチナ・ガザ地区への空爆を強め、ハマス側もイスラエルに対し多数のロケット弾を発射し、双方の死者は増え続けています。同じアジアの国同士がスポーツの祭典で競い合い感動を生み出している裏側では、目的の為に武力を行使し破壊と脅威によって多くの人々に犠牲を生み出している現況、この矛盾はいつになったら無くなるのでしょう。平和は、私たちの未来の世代に受け継いでいくべき最も貴重な贈り物です。一日でも早く、戦争や紛争のない平和な世界が実現することを心から願います。



令和5年10月 タイムナウ 透析室技師長 岡本威志