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 皆様、初めまして。リハビリテーション部理学療法士の谷川千春です。今年の夏は、つい最近までロンドンオリンピックに見入ってしまい、寝不足の日々でした。日本のメダル獲得数は過去最多の38個。選手のインタビューでは、まず始めに、家族やサポートに当たったスタッフ、チームメイトに対して感謝の言葉を述べていた事が印象的でした。スポーツって、やっぱりいいものですね。

 さて、突然ですが、心臓リハビリテーション(以下、心リハ)を、皆様ご存知でしょうか。今年2月に天皇陛下が冠動脈バイパス手術を受けた後に心リハを行ったというニュースがありましたが、そこで「心リハ」という言葉を初めて聞く方も多かったのではないでしょうか。当院では、平成20年7月より心リハを行っています。今回、皆様にも当院の心リハを知って頂けたらと思い紹介致します。

 心リハは、心筋梗塞や狭心症、心臓外科手術後(弁置換・形成術、大血管手術等)、慢性心不全、慢性閉塞性動脈硬化症の方を対象に、体力の回復や心疾患の再発予防、社会復帰を目標として、運動療法、食事療法、薬物療法、精神面のケアなどのプログラムを行います。心リハは生命予後を改善する効果があり、年々、普及してきています。

 心リハのプログラムの主体は、「運動療法」です。その内容は、自転車エルゴメータや歩行などの有酸素運動、機械や重錘を用いた筋力増強トレーニングが中心となります。これを聞いて、「なぁんだ。それなら一人でできるじゃないか。」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、心臓病のある方は、自己流で運動をしていると、病気の悪化を招いてしまう危険性があります。そこで私達心リハスタッフは、患者さんの体力や服薬状況、血液検査の結果など多くの情報から全身状態を評価した上で、各個人に適した運動療法を提供しています。勿論、運動中のバイタルサインも観察しながらリスク管理も同時に行います。当院での体力検査の一つに「心肺運動負荷試験(CPX)」という検査があります。この検査は、運動中の心電図や血圧、呼吸状態の変化などから心肺機能を評価し、より安全な運動負荷量を検討することができます。

 心リハが対象となる方の中でも、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常などを合併されている方が多くいらっしゃいます。それらは心臓病の「リスクファクター(危険因子)」と言われていて、再発予防としても同時に管理していくことが重要です。そこで、食事療法や薬物療法も重要となってきます。脂肪分や塩分を控えた食生活や、薬を処方された通りに正しく服用することなど、生活管理面でも継続した指導が必要となります。

 現在、当院には私を含め、心臓リハビリテーション指導士が3名(男性2名、女性1名)在籍しています。心臓病の既往がある方、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常症がある方、その他気になる事がある方は気軽にご相談下さい。

 以上のように、心リハ、運動療法について説明させて頂きましたが、実は私自身、運動習慣がなく、年々体力の衰えを感じています。それに反して、甘いお菓子や美味しい食事が大好きなため、体脂肪率は右肩上がりとなっています。このままの生活をしていると、私も将来病気になる危険性があるかもしれません。患者さんに自信をもってリハビリテーションを提供できるよう、自己の生活の見直しもしていかなくてはと思う今日この頃です。

 目を通してくださった方々、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

 

平成24年8月  リハビリテーション部 理学療法士 谷川千春