インフォメーション 〜time now〜

 オリンピックも終わり、寝不足からやっと解放されます。沢山の感動を与えてくれた上に色々な事を教えてくれた選手達に「お疲れ様」と「ありがとう」を伝えたいです。スポーツ選手達は、アスリートとしてだけでなく人としても一流でした。

 今回は、少しだけ諸外国の医療情勢などについてお話をしてから、ご質問の多かった72時間ルールの矛盾についてお話します(*^_^

 今回は、長文ですので最後までお付き合い下さい(●^o^●)

 ヨーロッパや諸外国は、高い税金を国民が課せられています。しかし、医療費が無料でその他の社会保障もしっかりしています。本当に贅沢品やガソリンなどの課税はすごいですよ(@_@。日本より物価が安い国でも高額です。医療での日本のシステムとの大きな違いは、プライベート保険制度と、ホームドクターにかからないと国公立などの大きな病院への受診や入院が困難である点です。ホームドクターとは、地域にある無床診療所(個人で開業している入院施設のないクリニック)です。殆どのホームドクターのクリニックには、レントゲンやCT検査などは設置されていません。ですから、ホームドクターに国公立の病院へ紹介状を書いてもらって初めて検査が受けられるようになります。ホームドクターの良し悪しが、その後の治療に大きく影響するので皆さん慎重にホームドクターを選ばれています。検査や入院をするのに何カ月も待たされることもあるようです。このような状況のために、ヨーロッパやその他の国で暮らしている日本の方達は、医療の質も含めて帰国してから検査や治療を受ける方が多いようですね。日本人のきめ細やかな心遣いや対応、医療の質と比べたら私が海外に在住していても、きっと帰国して治療を受けると思います(^_-)-☆

海外研修・視察の写真です✾

拙い英語ではありますが、現地のスタッフと積極的に情報や意見交換しています(*^_^*)

 

 さて、72時間ルールの矛盾ですが、当院のように看護基準10:1をとっている施設では、本来12名の看護師でその基準を満たしますが、夜勤要員を確保しなくてはならないので15名以上の看護師が必要です(ちなみに、当院の一般病棟は23床ですよ!!)。お解りのように、これは地方の中小病院の看護師不足を加速させ、経営にも大きな負担をかける結果になっています。又、看護師の労働条件の緩和を掲げているようですが、夜勤だけに焦点があてられているので、10名の看護師が日勤になってしまうとその分の申し送り時間が72時間ルールに影響してしまい有給を入れて看護師を休ませ、日勤の看護師の人数を調整しなくてはなりません(当院のような中小病院では…)。当院の看護師の有給消化率はもともと高いですし、検査や処置、保清、入・退院など殆どが日勤帯で行われる為に、現場の看護師達は「なんで~!?」と口を揃えて72時間ルールの文句を言います。ちなみに、国公立の病院のように看護管理職者が現場の看護師とは別に待機宿直しているところは、この待機宿直が夜勤換算されていないのでしょうか?されていないとしても、待機宿直をする看護師の管理職者は、個室に籠るのではなく、夜勤業務を現場でしているのでしょうか?看護師の管理職者が現場に立ち現場を知る事の方が偏った施策するよりよっぽど教育や看護師の離職防止に繋がると思いますよ…!(^^)!夜勤に限らず、看護師の管理職者が現場に立ち、現場を知ることこそが、本当の意味で患者やスタッフの状態や気持ちを把握する事ができるのではないでしょうか?○○室に籠るのは勿体ないと思います。…おっとっと!!(^^ゞ話を72時間ルールに戻します。夜勤に関しては、2交替、3交替で様々な検討がされていますが、各々の施設で自分達に合ったスタイルをとるのが理想でしょうね…うちのスタッフは、長時間になっても結局は入り、明けのある2交替を好み「3交替はきつい」と言います。それと、人手不足で過酷な回数の夜勤を課すのは問題だと思いますが、経済的な理由(進学費用、家庭の事情等も含む)があり、夜勤回数を多く望むスタッフに72時間ルールのために必要な夜勤回数も入れてあげられないのも悩みの一つです。かといって、たった23床(常時フル稼働している訳でもない)の病棟で救急病院でもないのに介護福祉士1~2名に看護師3名の夜勤体制にするなど考えられません…看護師は2名で十分です。最後に一つ!!現場の看護師をみている長年の経験から、夜勤を好む看護師と好まない看護師がいます。日勤の方がつらいと思っている看護師に無理やり夜勤の回数を減らし、逆に夜勤がつらい看護師に無理して夜勤を入れなければならない72時間ルールは、先述しましたが看護師を疲弊させ離職に拍車をかけると思います。看護師も、各々が様々な問題を抱えて仕事をしています。色んな立場の人がいます。その辺も考慮して再検討して頂きたいです。せめて、病床数にみ合った制度にして頂きたいです。

ちなみに当院には、一般病棟のほかに回復期病棟もありますからね(*_*)

平成24年8月 岩根 美紀