インフォメーション 〜time now〜


 今回、time nowを担当します透析室の岡本威志です。よろしくお願いします。

 新年度が始まって、はや1ヶ月。暦の上では立夏を過ぎ、吹きゆく風にも初夏の香りが感じられるこのごろ、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

 さて、世界保健機関(WHO)は5月4日、専門家委員会を開き、新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除について検討をしました。専門家らは解除を提言、ワクチン普及による死者数の減少などを受け、テドロス・アダノム事務局長は「大きな希望を持って、新型コロナが世界的な健康上の緊急事態でなくなったことを宣言する」公言しました。その一方で、足元でも新型コロナによる死者が出続けていると強調し、「コロナの脅威が終わったわけではない」と警戒を続けるよう訴えました。世界的なコロナ危機は緊急事態宣言から約3年3ヶ月で“平時”に戻りました。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの日常生活に大きな影響を与え、様々な行動変容や生活様式の変化をもたらしました。その一つがマスクの着用です。マスクの着用は、自分だけでなく周りの人々を守ることができる重要な防護具として認識され、多くの人々が日常的に着用するようになりました。それ以前は、日本を含め多くの国々で特定の職業や疾患予防のためにマスクを着用することはあっても、日常生活やビジネスの場でマスクを着用することは稀でした。しかし、今日ではマスクを着用している人々を見ることが“普通”になっていて、私たちにはその光景がもはや“普通”になってしまっています。いつの日か、マスクが不要になる日が来ることを…本当の“平時”を迎える日が来ることを切に願います。

 日本の感染症法では、感染力や感染した場合の重篤性などを総合的に勘案し1~5類等に分類し、感染拡大を防止するために行政が講ずることのできる対策を定めています。新型コロナウイルス感染症の位置付けは、これまで、「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」としていましたが、令和5年5月8日から「5類感染症」になりました。しかし、厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織は、今後、流行「第9波」が起こり「第8波より大きな規模になる可能性も残されている」との見解を示しています。ワクチンの追加接種や介護・医療現場の感染対策など「死亡リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人への対策を継続する必要がある」と述べ、日本は高齢化率が高く、死者数が「他国と比べても多い状況で推移する可能性がある」と指摘、高齢化の進んだ地方に流行の中心が移り、死者数を押し上げることもあり得ると警告しています。感染症法上の位置付けが「5類」に移行される中でも地域での流行状況に関心を持ち、自主的に感染を防ぐための行動を取って特に重症化リスクの高い高齢者に感染が及ばないようにする配慮が重要だとしています。

 昨年、当会においても職員や患者、入居者・利用者さん等のコロナ感染者急増によって、医療・介護サービスの提供や医療・介護者の健康被害、メンタルヘルスにも多大な影響を受けました。今後も「感染症は依然として私たちにとって深刻な脅威」であることを念頭に置き、自らが感染しないだけでなく、患者さんや周囲の人たちへの感染リスクも考慮し、各々が基本的な感染対策を継続することが不可欠となります。



令和5年5月 タイムナウ 光心会 諏訪の杜病院 透析室技士長 岡本威志