インフォメーション 〜time now〜


 今回time nowを担当させていただきます当会の医療安全管理委員会、理学療法士の佐々木です。よろしくお願いします。

 私は、昨年11月に厚生労働省九州厚生局主催の「令和4年度 九州・沖縄地区 医療安全に関するワークショップ」に参加しました。その中で、医療事故が起こった際に記載しているインシデント・アクシデントレポートについての話が印象に残りましたので一部をご紹介させていただき、当院での取り組みもお話させていただきたいと思います。

 当会は、各部署に医療安全管理委員を配置しており、ガイドラインの策定や部署で起きた事象に対して作成したインシデント・アクシデントレポートのチェックと集計を行い、転倒・転落予防対策に繋げています。当会は、病院運営だけでなく介護保険分野などの事業も行っており、様々な予防対策を講じても、どうしてもインシデントやアクシデントは発生してしまいます。毎年件数が多い事象は、「転倒・転落」です。病気や加齢などにより、身体機能や認知機能が低下している方が入院や外来で当会を利用されていることもあり、多くの転倒・転落が起きていると思われます。転倒・転落の具体例としては、「リハビリテーション中に転倒してしまう」「病室や居室に伺うとベッドから転落している」「トイレ介助中」などがあげられます。

 ワークショップの中でも転倒・転落の事故を起こさない為には、患者さんの身体的な側面・心理的な側面などの状態を把握するとともに介助する者自身の身体的な能力を把握した上で、頭の中でイメージすることが重要と言われていました。ただそれだけでは転倒・転落を減らすには不十分で、環境がとても重要になるようです。昨今では、有料老人ホームが多く建設されていますが、居室にあるトイレの配管の関係で2つの部屋を左右対称に作ることが多いようです。脳梗塞などにより半身不随意麻痺の方にとって、安全な居住環境を作るには、トイレの手すりやベッドの配置を転倒・転落を起こさないために考慮する必要があります。また、ベッドから立ち上がりトイレに行くまでの動線で方向転換が少ない方がより転倒・転落の危険性を下げられます。当院を利用される方々が安全に、またご家族に安心していただけるように、今後も医療安全に努めてまいります。

 私は、主に介護保険を利用してご自宅や有料老人ホームへリハビリテーションに伺う、訪問リハビリテーションに携わっています。入院中に在宅での生活を想定し環境を整えてはいますが、退院後の実際の生活の中で状態は変化することが多く、状態に応じた環境調整は適宜必要であることを、個人的にも実感しています。転倒・転落を起こすことなく、安心して退院後の在宅生活を送ることが出来るように、これからも日々の業務に邁進したいと思います。




令和5年3月 医療安全管理委員会 理学療法士 佐々木紘幸