インフォメーション 〜time now〜


 こんにちは、今月のtime nowを担当します諏訪の杜病院 リハビリテーション部 言語聴覚士の廣瀬結貴栄です。よろしくお願いします。今回は、私が病気療養から職場復帰した際の心情の変化についてお話したいと思います。

 私は2年前に股関節の手術を受け、約1年の入院、リハビリテーションを経て職場復帰をしました。復帰する前日は、久しぶりに皆に会える“嬉しさ”の反面、仕事内容を忘れていないか、担当患者さんが私を憶えてくれているかなど、“不安”で寝つけませんでした。そんな中迎えた出勤初日、職場ではスタッフや患者さんから「おかえり」「待っていたよ」と声をかけて頂き嬉しかったあの時の気持ちを、今でも鮮明に覚えています。

 しかし、復帰してすぐに療養前と明らかな違いを、“焦り”と“驚き”をもって感じました。それは、周囲の成長です。同期が後輩を指導している姿はしっかりしたものに変わり、新人だった後輩はすっかり仕事に慣れ、訓練を堂々とする姿がありました。そのような光景を目の当たりにし、正直、“置いてかれたような気持ち”を抱きました。頭では、自分のペースで頑張れば大丈夫と分かっていながらも、内心は足を引っ張ってないかと仕事をするのが“怖い”とも感じるようになりました。複雑な気持ちを心に溜めて働いていると、不安から涙を流すこともありました。

 そんな時、支えとなってくれたのは家族でした。私が疲れて帰ると「仕事はどう?」「自分のペースで頑張りよ」と声をかけてくれました。入院中はもちろん職場復帰してからも、心配をかけているので“申し訳ない気持ち”にもなりましたが、家族がかけてくれる一つひとつの言葉が、すごく心の支えになっていました。また、同期や上司の方々からも「大丈夫?」「無理しないように」など頻繁に声かけや、サポートをして頂き、辛い時期を乗り越えてこられたのだと思います。

 今回のtime nowを機に、復帰直後に書いた朝礼スピーチの原稿を読み返しました。その時も入院生活のことを書きましたが、その中では、自分が医療を提供される側となったことでわかった心情、また、セラピストや看護師から掛けられる言葉の重要性をまとめていました。復帰して10ヶ月が経過していますが、働いているうちに、その時の気持ちを忘れていた気がします。改めて、患者さんと訓練以外にも会話する時間を設ける努力をすること、忙しいことを理由に対応を疎かにしないことを目標にしていきたいです。職場復帰から現在までを思い返すと、置いていかれたと感じた距離を縮めようという焦りが強く、必死になり過ぎて、業務に精一杯になり患者さんと十分に向き合えていなかったようにも思います。自分も入院し、リハビリテーションを受けたことで、『患者さんの気持ちが分かる』という強みを活かして、今後は、心に余裕を持ち患者さんと向き合うことを心がけていきたいです。

 最後に今年の4月で5年目となります。復帰してから感じてきたことをお話しましたが、実際に行動に移すことは難しく、思い描いたようにできないこともあります。まだまだ未熟なことも多く指導を受けることもありますが、焦らず自分のペースで成長していきたいと思います。


3月タイムナウ 諏訪の杜病院 リハビリテーション部 廣瀬結貴栄