インフォメーション 〜time now〜


 皆さんも、師走の足音が聞こえてくるような、慌ただしい日々を過ごされているのではないでしょうか?

 先月、アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席がオンラインで対話しました。それぞれの大国の思惑がぶつかり合い、「偶発的な衝突を避けるガードレール」は見えないままでしたね。1日延べ40機の軍用機を台湾防空識別圏に送る中国は、「完全統一が、中華民族の望み」としています。アメリカと台湾の「台湾関係法 1979年」には、アメリカによる防衛義務は定めておらず曖昧ですが、どう介入していくのでしょう。中国包囲網のQUAD(安全保障と経済を協議)は、アメリカ、日本、オーストラリア、インドが加盟しています。AUKUS(防衛協力)には、アメリカ、オーストラリア、イギリスが加盟しています。軍事衝突だけは、避けたいところですが、習近平氏がリーダーである限り、危ういですね。更にバイデン大統領は、今月にはロシアのプーチン大統領ともオンラインで会談しましたが、こちらも平行線のままでした。ロシアは、ウクライナ北部に軍を送っています。これは、2014年にウクライナに侵攻してクリミア半島を併合した時と同じパターンです。バイデン大統領は、侵攻ならば「経済的制裁を課す」と言っています。一方、プーチンはNATOの東方拡大やロシア近くへの兵器の配備をしないように求めていました。世界が、危険な方向に流れているのを、ヒシヒシと感じます。

 皆さん、12月8日が何の日だかわかりますか?真珠湾攻撃が、日本の海軍によって行われた日(現地:12月7日)です。私は、パールハーバーにある戦艦ミズーリ記念館を訪れています。ゼロ戦が侵入してきた山々も見学しました。透き通った青い空や、まるで平和そのものの自然の中に、攻撃機の幻影を見て身震いしました。記念館では、アメリカ人や外人に混じって見学をしたのですが、その時ばかりは、誰かに何か言われた訳でも、白い視線を向けられた訳でもないのに、日本人と言うだけで肩身が狭いどころか、その場所に居るのが申し訳ないような気持になりました。見学していて、押さえつけられるような心の重みに耐え兼ね、早足に記念館を後にしたのを覚えています。日本人が悪いわけでもない、アメリカ人に罪がある訳でもないのに、何故多くの人が命を落とさなければならなかったのでしょうか?「戦争は、どんな事情があろうとも、絶対によくない」「同じ人間が、殺し合うなんておかしい」という当たり前の事を忘れないでいようと固く誓ったものです。北京五輪の外交ボイコット(政府高官らを派遣しない)を、アメリカが先陣を切って公表し、オーストラリア、カナダ、イギリスが新疆ウイグル自治区や台湾への非人道的な問題等を理由に後に続きました。勿論、人権問題も大きいでしょうが、習近平氏にお手柄をあげさせたくない理由もあります。ボイコットする国が増えても、自国の反省はしない中国は、開催して習近平氏の功績を称えるのでしょう。各国のリーダーに、平和を優先に判断して欲しいです。

 先日の素敵な出来事をお伝えしますね。仕事で、尊敬する医師に久しぶりにお会いしました。その医師から、「あなたたちは、今置かれている状況に気付かないといけない。人はある程度年を取ったら、誰かのために出来ることがないかと考え始める。でも、なかなか見つからない。あなたたちは、手を上げればケニアで貢献することが、いつでもできる。武居先生に感謝しないといけないよ」「武居先生が国内外でしていることは、凄いし素晴らしい事なんだよ」「そして、このことを一人でも多くのスタッフに伝えないといけない」とお言葉をいただきました。普通に理解していることの筈が、第三者に伝えられると心に沁みます。そうです。武居は誰にもできること、しかし、誰にもできないことをしているのです。熱意と使命感をもって、困難な道を自ら選び、永年奮闘しているのです。私はこの医師の言葉に、これからも愚直に誠実に、様々な活動を支えて行こうと思いました。

 最後に、医療のお話です。オミクロン株ですが、無症状か軽症の方が多いようです。WHOは、これを判断するのには、時期尚早としています。ワクチン接種やウィルス感染でできた抗体により、逆に感染しやすくなったり、症状が悪化したりする現象ADE(抗体依存性感染増強)が、新型コロナウイルスでも起きるのではないかという懸念も広がっています。しかし、ウィルスと人類の歴史を見ていて、私は思うのです。あくまでも私見で、希望的観測かもしれませんが、ウィルスも私たち(人間)がいないと生きられません。だから、折り合いをつけて落ち着いて、治療も確立されると思うのです。最近、アルコール消毒では十分に殺菌できないノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行りつつあるようです。これも、石鹸と流水でしっかり手洗いをすることで防げますので、アルコール消毒を万能のお守りとせず、手洗いも励行しましょうね。健康に新年を迎えましょう。


令和3年12月 諏訪の杜病院 岩根