インフォメーション 〜time now〜

 何故か分かりませんが、私は磁石が大好きです。子供の頃の砂鉄集めが、とても楽しかった事を覚えています。「日本国際賞」"Japan Prize"の2012年の受賞者が1月に決まりまして、佐川博士「世界最高性能Nd-Fe-B系永久磁石の開発と省エネルギーへの貢献」のお名前を見て色々と考えたことを書こうと思います。(もう片方の受賞の方は?という突っ込みは敢えて無視します)

  面識はありませんが、佐川博士おめでとうございます

  この受賞のニュースを聞いてやはりハードディスクを一番先に思い出します。壊れても、素晴らしい鏡として利用できます。身長の低い私の子供から「鏡が見えないよ」と言われたのですが、ハードディスクの円盤をテープでくっつけて見せてあげると、とても喜んでくれました。落としても簡単には割れませんし、その辺の鏡より高価な分綺麗です。シークモーターのところにある磁石は強烈ですので、分厚い紙でも壁にくっつけられます。スピンドルモーターを使ってグラインダーにできるとは思いますが、トルクが?ですし、危ないので自己責任で御願いします(笑)
  話を戻して、博士が作られたネオジム磁石ですが、至る所に使われているそうです。シークモーター部のあの強烈永久磁石もネオジム磁石だそうです。日本国際賞の資料にも書いていますが、永久磁石自体は古代ギリシア時代から知られていたようで(magnesia, 医療職的にはカマグを思い出すのかな?)、18世紀になって人工の永久磁石を作り始めたとのことで、割と長い歴史があります。
  ネオジム磁石は高価な材料を使用するサマリウム-コバルト磁石のコバルトを鉄に置き換えたときに起きるキュリー温度低下を克服するために作られました。1978年にネオジム磁石のアイデアを思い付いて、数ヶ月で金属間化合物を発見したそうで、すごいスピードに感じます。強磁性体は温度を高くすると磁性が変化しますが、常磁性(磁石でなくなるとか言われます)になる温度をキュリー温度と言います。磁石の耐熱性を高めるために、ジスプロシウムを混ぜるのですが、中国にほとんど依存しています。2010年に中国がレアアースの日本への輸出を一時停止したというニュースは、はっきりと記憶しています(このあたりで私は学会で中国に行ってました)。最近のニュースでは、輸出制限の件をWTOで争うと報じられていますので、関心を持って見守っています。

  ちなみに、ほとんどの有機分子は反磁性を持っています。強力な静磁場内にカエルを突っ込むと宇宙遊泳のように浮いたりします。興味のある方は”Magnetic levitation”でググりましょう。

  「日本国際賞」"Japan Prize"ですが、まだあまり知られていないのでしょうか...大分大学の学生さんに聞いても、知っている人はほとんどいませんでした。恥ずかしながら、私が知ったのも授賞式に連れて行ってもらってからです。お世話になった先生方にはとても感謝しています。もう9年も経っているようで、時間の流れの速さを感じずにはいられません(下図)。この賞は1985年に第1回授賞式が行われています。誰に賞を贈るかという「評価」にどれだけ時間や労力が掛かっているかと考えると、携わっている方々に敬意を払わずにはいられません。できる限り正しいデータを取得し、できる限り正しい評価をするよう、臨床の場でも常に注意しなければならないと改めて感じています。
  しかし、日本国際賞受賞記念講演会は平日ばかりに行われているよう記憶していますが、今年も4/26の木曜日らしいです。週末にしてもらえないかなぁ。

  このような乱文を最後まで読んで頂いてありがとうございました。


2012年4月 黒木