インフォメーション 〜time now〜

 我が家や当院から見える由布岳が冬化粧しています。急に大分も寒くなったので慌てて冬衣に衣替えしました。何かと忙しい師走だとは思いますが、風邪などひかないように睡眠と栄養をしっかりとってご自愛下さいね。 

 医療技術の飛躍的な進歩により、救われる命は多くなっていますが、一方で重い疾患や慢性病を持ちながら、又は、障害を持ち生活をされる方も多くいらっしゃいます。このような状況の中、先日出席した学会で改めて「その人らしさ」について考える機会がありましたので今回は、「その人らしさ」とは何かを私なりに考えたのでお伝えしたいと思います。
 皆さんは、「その人らしさってどういうこと?」と尋ねられたら、どう答えますか?私は、病気や障害を持っていても、生きがいを持って(自己実現)、住み慣れた地域で生活できることだと思います。時代や社会背景は変わっても、そこは変わらないと信じたいです。 
 現在の医療は、急性期・亜急性期・回復期・生活期・ターミナル期に細分化されており、携わるプロセスが違ってきます。しかし、究極の「その人らしさ」はそこに限るのではないでしょうか?少し違うのは、急性期では、救命を一番に元の生活に戻る事を視野に入れ、合併症や障害を最小限にとどめる努力がなされます。私達は、病気や障害を持つ対象者の身体・精神的な治療やケアリングをしつつも、対象者が地域で生活し、更には、自立(自律)して生きていく為の様々な手段を対象者と共に探さなければなりません。病気や障害の程度、年齢の幅が関与しますので一概には言えませんが、できれば自分の事は自分で出来るのが理想です。しかし、家族の協力や社会資源を活用してでも住み慣れた地域に戻り生活できれば幸いだと考えています。ただし、若い対象者であれば何十年にも渡る残された人生設計を構築していかなければなりません。対象者の好きな事ややりたい事、イベントごと等のきれい事だけでは対象者の「生きる」を支えられないのです。なぜなら、対象者も又、私達と変わりない「社会で生活している人」だからです。身体機能回復や病気のコントロールから始まり在宅復帰に就学・就労と支援の場は広がります。最終的には対象者が、何らかのかたちで社会に還元することが出来れば素晴らしいと思っています。 
 今回出席した学会で「その人らしさ」を支える為には、医療、保健、福祉の連携や家族の協力は勿論のこと、各期に携わる専門職種がそれぞれの立場を理解し認め合い協力することが、大変重要になってくるのだと再認識しました。同時に、自分の専門分野にこだわればこだわる程、視野を狭くしてしまい、思いが強ければ強い程、時には自己価値観や自己満足を押し付けてしまうことも念頭におき、自己決定を侵害することのないアプローチと他職種・他機関との連携を続けていきたいと思いました。私達が偏ってしまうと対象や家族を振り回してしまいますものね…!!「人のふり見て我がふり直せ」という諺がありますが、本当に良い経験と勉強をさせて頂いたと思います。 

それでは、皆さん良い年末年始をお過ごし下さい!!
平成23年 12月28日 岩根美紀