インフォメーション 〜time now〜

 世界の重大事象を見渡すと、今年も大変な年になりそうですね。不安定な中東、アメリカのGDP大幅減速、中国のバブル崩壊懸念、日銀のマイナス金利導入。更に、防衛相が、2030年前後の世界情勢を見据え国産戦闘機開発を進め「先進技術実証機(X-2)」が2月中旬に初飛行。現在、有人ステルス機を実用化しているのはアメリカだけです。ロシアと中国は飛行試験中なので初飛行すれば、日本は世界で4ヶ国目となります。今後の日本は、航空宇宙産業を何に向かって開発・発展を遂げていくのでしょうか?

 1月に国立がんセンターが、全国がん(成人病)センター協議会の協力を得て初めて全ての癌の全臨床病期の10年相対生存率を集計しました。10年相対生存率は、58.2%だったそうです。生存率が90%以上だったのは甲状腺で90.9%、一方で30%未満だったのが、胆のう胆道19.7%、肝臓15.3%、膵臓4.9%だったそうです。何にせよ、定期的に健診を受け早期発見・早期治療が鍵になりますので、自覚症状がなくても、皆さんも1年に1度は健診を受けて下さいね。

 さてさて、退屈な話は終わりです。皆さんは、日本人が伝統を守りつつ外来文化を巧みに独自の文化に融合する能力に、何故長けたとお考えになりますか?学生時代に“参勤交代”を学ばれましたよね。私は、参勤交代こそが速やかな近代化を果たす日本人の柔軟さや応用力を形成する基盤になったのではないかと考える様になりました。参勤交代とは、江戸時代に行われていた交代勤務のようなものです。幕末までは、領主などが江戸と国元を1年毎に往復していました。これは、各藩の財力を抑え幕府に反旗を翻さない為と幕府の権力を誇示し統制を図る為に義務づけられていたと学んだ気がします。「江戸時代といえば鎖国していた筈では…?」と思われる方も多いと思います。この時代は、同じ日本であっても隣国を訪れるのは、現在、渡航に問題のある外国へ行くよりもずっと困難でした。気軽に旅行に出掛けるなんて皆無に等しかったのではないでしょうか。実際に、通行手形を一般人が取得するのは困難で、更に関所でも厳しく取り締まりがされていましたので、交通の面でも障害になっていたと思います。そんな時代に、参勤交代で人々や物が流れる事によって、地方の文化や方言を知る機会となり、醇風美俗な日本人の好奇心やおもてなし精神を擽り、全国規模で諸国の文化などを応用して実生活に取り入れる術を身に着けたのではないかと、ある事をきっかけに思うようになったのです。リハビリテーションでもこの柔軟さや応用力はすごく大切です。絶対的なベースもありますが、患者さんや利用者さんの心身機能が向上するならば専門職者が、様々な手段や方法を持ち対象者の同意のもと試みるのは素晴らしい事だと思います。これが思わぬ契機や結果に繋がる事もあります。BestでなくてもBetterの方が良い時もある事を私達は認識して、決めつけずに諦めずに対象者と共に話し合い考えていくことも肝要だと思います。対象者に、自発性と自主性、責任を持って頂くことが重要です。共に暗中模索した経過をきちんと評価しつつ記録に残して考察する事でエビデンスも構築されていきます。この日本人の良い気質を臨床で活かして対象者と共に歩みましょうね。

 これまでも、ケニアのご紹介をしてまいりましたが、次回のタイムナウでは「リアルなケニア生活」を報告したいと思います。実体験から皆さんにケニアを知って頂いて、ケニアに関心や興味を持って頂ければ幸いです。日本の報道などとは違う観点で「リアル」なケニアの姿をお伝えしたいと構想を練っていますので楽しみにしていて下さいね。

平成28年2月タイムナウ 岩根