インフォメーション 〜time now〜

 まだ秋だというのに、心はもうイベントの多い師走(冬)に向いています。忘年会やクリスマスなどが、楽しく有意義になるように早くから計画を立てなければなりません。当法人では、忘年会で永続勤務者が表彰されます。記念品は、クリスタルの楯で5年以上前から配布しています。その楯には、表彰者名と病院名、病院のロゴそして『植えられたところで咲きなさい』という言葉が当法人に勤務する職員(稲場Ns:芸短大卒)の手書きしたものをベースにして彫られています。この言葉は、ノートルダム清心学園理事長でいらっしゃる渡辺和子先生(シスター)の「置かれた場所で咲きなさい」という本の一節です。「どんなところに置かれても、花を咲かせる心を持ち続けよう」「(花が)咲かない時は根を張る努力と我慢をしましょう」という意味の愛と勇気を与えてくれるお言葉です。短い文ですが、とても心に響く一節です。私たちは、光心会や共生の会を通じて邂逅しました。でも、今ではさも必然の出逢いだったかのように公私ともに支え合う仲間になっています。有難く幸せな事です。私は、先生の「タンポポはバラにはなれない。でも、バラもタンポポにはなれない」という言葉にも救われ励まされてもいます。ポジティブに自分を捉え、自分自身を大切に思う事ができます。この言葉は、物事が上手く運んでいる時よりも、かえって上手くいっていない時に私の頭をよぎる言葉です。これらの言葉や論語などは、個々の解釈で良くも悪くもなりますが、これまでtime nowでご紹介してきた言葉や論語は、私が好きなものばかりです。

 皆さんは、『人間鎖』を御存じですか?バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の独立運動のことです。スウェーデン、ドイツ、ロシアに占領され翻弄させられた三国が、言葉や文化の壁を越えてネットも普及していない1989年8月に各国の人々が200万人も終結し、600kmに渡り手と手を繋ぎ『人間鎖』を築き三国の独立を訴えたのです。これって凄くないですか?600kmといえば東京から広島の距離ですよ!!この運動でバルト三国は、1991年に見事独立を果たしました。『武器を持たず』『恐怖心を煽りたてず』『強制・強要せず』とも、志を持つ人間の強さや団結力が関わる世論や国家を動かしたのです。そして、この出来事は自由を守るために正義を貫く人間や社会の性善説の象徴であると思います。事実は、雄弁にそれらを物語りますよね。それなのに、現在の国際社会はどうなってしまったのだろう!?どうなっていくのだろう!?とても不安になります…日本も…。

 さてさて、少しばかり医療情勢のお話もしなければなりません。国は、門前薬局をなくして薬剤費削減を図ろうとしています。国民に「かかりつけ薬局」を持たせることで重複処方などの無駄をなくす、調剤薬局の牽制を図るのが目的のようです。これも、メリット・デメリットがあり賛否両論です。本来、医療機関や調剤薬局、国民一人ひとりが自重しておけば良かったのです。皆さんの家には、余った薬はありませんか?薬をこれからは無駄にしないで下さいね。

 それから、72時間ルールの話ですが、私は「撤廃」を謳っているのではありません。看護師の労働条件改善やマンパワー確保のためのバックボーンづくりは大賛成です。ただ、既存の看護基準や各病院の機能や規模に見合った改定をしなければ歪が出ていることを懸念しているのです。例えば、病床が30床以下の病院は、78時間までにするとかの検討と改定がなければ誰も納得しません。現に、看護師が不足して病棟を閉鎖した病院やこのルールの看護師確保ができずに、虚偽を働き病棟が閉鎖された病院の実例もでてきています。虚偽を働くことは決して良い事だとは思いませんが、それくらい地域の病院は切迫した状況に陥っているのだと思います。この様な状況が長期化すればする程、害を被るのは患者さんたちです。看護師は、何を一番に守るべきなのでしょうか?必要な時に必要な治療が住み慣れた地域で受けられる場所の確保こそが最優先されるべきだと私は思います。看護師の私が看護協会の意向に沿わない発言をしているようですが、私は自分に与えられた義務を誠実に果たす事に専念して看護師のロイヤルロードを歩む生き方をしようとしているだけです。

平成27年 11月タイムナウ 岩根美紀