インフォメーション 〜time now〜

 最近、鈴虫の雄が左右の広い前翅をすりあわせてリーンリーンと鳴くようになりました。大分の山々も色づきはじめました。季節の移り目に、体調をお崩しになりません様に。

 今月の見出しは、やはり何と言ってもノーベル賞受賞からですよね(^^♪物理学賞は、素粒子ニュートリノの質量を証明したことで夢広がる世界に第一歩を踏み出し、医学生理学賞ではオンセルカ症(河川盲目症)の治療法を発見したことで多くの人々を救っています。玉石混淆とした世の中で本当に素晴らしい価値ある研究をされたとその努力と功績に感銘を受けました。

 さてさて、アベノミクス新3本の矢「強い経済力」「子育て支援」「社会保障」は、いずれも深刻な日本の問題に焦点を絞ったものですね。でも、いくら何でもGDP600兆円と離職率“0”は高く掲げすぎだと思いますが、人口減少は将来の日本や経済にも大きく波及するので希望出生率1.8は超えて欲しいと願っています。そう願う一方で、定職にも就かずに親にパラサイトして同居する中年は308万人(2014年調べ)…私達日本人は、平和すぎて…恵まれすぎてどこかで何かを間違ってしまったのではないか?と考える事もしばしばです。

 以前から取り上げている診療報酬における看護職員の月平均夜勤時間72時間要件ですが、導入されてからも目覚ましい効果がないまま見直しもされていません。これは、看護基準や厳しい医療(診療報酬)情勢とも合致しません。マンパワー確保は、良い医療を提供するためには必須です。しかし、経済的な理由や家庭の事情で夜勤回数を多く希望する看護師たちも沢山います。公的医療機関や救急指定など病院の担っている機能や病床数を加味した配置にして頂かなければ、地方の病院ではこの月平均夜勤時間72時間要件が満たせずに病棟を閉鎖せざるを得ない病院や看護師の抱え込みや奪い合いなどの問題も出てきています。看護師の労働条件改善や定着も大切ですが、病床数が減る事で被害を被る患者さんがいることも認識しなければなりません。自分たちの労働条件や患者さんの安全確保の前に、患者さんが必要な時に入院して治療が受けられる環境を保つことこそが最優先されるべきだと思います。それでなくても国は、医療費削減の為に病医院数を国策として減らしにかかっているのにこのままでいいのでしょうか?又、公立や半民半官の医療機関と同様の給与やボーナスをサテライト(プライベート)の病医院で支給されている看護師は限られていると思います。働く看護師の殆どがサテライトの医療機関や介護施設などで働いています。その現場の看護師たちは、夜勤回数を減らすよりも手取りの給料が多い方を望みます。サテライトの看護師は経営状態で給料も変わっていきます。即ち、看護基準やベッド稼働率、人件費などが加味され給料に直接反映されるのです。たった20床しかない当院の一般病棟の場合では、看護基準10:1(当院の設備で取得できる最高の看護基準)ならその要件を十分に満たすにも拘わらず、月平均夜勤時間72時間要件を満たすために17人の看護師が勤務しています(産休中の看護師除く)。さらに、8名の介護者なども勤務しています。労働条件改善や増員で看護の質や離職率が改善するとは思えません。本当に、病院の規模などに見合った要件にして頂きたと切望します。入院患者さんを支えているのは看護師だけではありません。他職種との整合性も絶対に不可欠です。各々の職場を良くすることが、当院の実例でも離職率や質の改善には一番の近道だと思います。愛と広義の精神を忘れずにいたいものです。

平成27年 10月タイムナウ 岩根