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『TMS治療』

 今年の夏は、まさに「猛暑」と呼ぶに相応しい暑さでしたね。この気温で日本を囲む海水の温度が、3℃も上昇したということです。その結果、庶民にとって代表的な秋の味覚‘さんま‘の捕獲量が激減し、値段が高騰しています。農作物も高騰していて、私達のお財布事情に、もう暫く影響しそうです。
 今回は、10月中旬から、当院で始まる『経頭蓋磁気刺激治療』(以下TMS治療)の紹介をしたいと思います。すでに、某TV番組で取り上げられ、全国的にすごい反響でしたが、日本で数か所でしか治療を受ける事ができません(九州は、当院のみ)。その理由は、TMS治療が、保険適応になっていない事、受け入れ施設のハード・ソフト面の問題、そして東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科主任教授の安保雅博先生の、TMS治療は、きちんとリハビリテーションのできる病院でなければ、安心して委ねられず、患者さんにも責任が持てなくなるというお考えや懸念から、対象施設を厳選していることです。以前より、安保教授から、お話はあったのですが、はたして私共にそのような大役が務まるのか、ハード・ソフト面の充実は基より、全国から高額な費用を使って来られる対象者の皆様に満足して頂く事ができるのか等、当院でも何カ月にも渡り、検討してまいりました。しかし、私共は、安保教授のTMS治療に対する熱意と真摯さに感銘を受け、様々な諸問題を解決してようやく引き受けさせて頂くことができました。
 TMS治療を簡単に説明しますと、健側の大脳に低頻度で磁気をあて抑制し、麻痺側の脳の機能改善を図ろうとするもので、麻痺側上肢の随意性および手指の巧緻性を高めることを目的として行われます。さらに集中的リハビリテーションを併せて行うことにより、今まで困難であった日常動作の再獲得が図れます。個人差はあるものの、効果が期待できます。
 TMS治療導入にあたり、当院では、医師・看護師とリハスタッフが、数回の検討会やカンファレンスを開催し、対象者の方々が安心して治療に専念できる環境整備や今後のTMS治療の継続に繋がるようなEBM(科学的根拠)を残す工夫をしました。
 私共も、TMS治療に初めて携わりますので、行き届かない点も多いとは思いますが、スタッフが一致団結して、真摯に対応させて頂く所存です。関係者の方々にもご迷惑をおかけするとは存じますが、何卒宜しくお願い致します。最後になりましたが、安保教授をはじめ、慈恵会医科大学の先生方にも、ご指導・ご鞭撻のほど重ねてお願い申し上げます。

~ 少し為になるお話 ~
 名言や論語は、人の好奇心を掻き立て、明瞭で信憑性も高く、時には、人の魂を揺さぶり、人生 観までも変えてしまうことがあります。それだけ大きな影響力があるのです。何故なら、名言や論 語は、事実や経験から語られた言葉だからです。そこで毎回、名言や論語を書き込んでいきたい と思います。
   『私の歩みは遅いが、歩んだ道を引き返すことはない』
                                  (エイブラハム・リンカーン)
  数十年に渡り、黒人の奴隷解放運動に関わったアメリカの第16代大統領の言葉です。私は、名言や論語をいつも自分をポジティブにし、自分の戒めになるような解釈をするようにしています。信念を持って、あきらめずに続けることは、とても大切なことと伝えているのだと思います。うまくいかないと、投げ出しそうになるけれど頑張れます。

平成22年 10月 岩根 美紀